2週間ほど前に初来院。60歳、男性、元々寒がりの方です。2年ほど前から頭痛、不眠、耳鳴り等、身体の不調に不安を感じて色々な病院に通院されているそうです。
「さらに、3か月程前から頭(おでこから頭の後にかけて)が熱くて、いつも冷やしています。漢方薬なども処方頂き飲んでいますが、あまり変わりません。どうにかなりませんか?」とのことでした。
さっそく横になって頂き、両手首の脈をみるとなるほど”冷え体質”です。(脈を診ることで、元々の体質等が凡そ推測出来るのです。)
さらに専門的な話をしますと‥‥左手尺中の脈は虚しており東洋医学的な診方でいう所の”腎虚状態”、お腹を診ますと、ツボの位置で言えば関元あたりも虚しており、力が無くこれも脈の状態と一致しています。
元々冷え体質の身体ですが腎虚が進み、その虚熱が頭に上がって熱さを感じていると判断しました。
脈は平(遅くも速くもない)ですので腎経(身体を巡る12の経絡の一つ)のツボの火穴、湧泉を軽擦すると脈状が良くなりました。
治療は刺さないハリ”テイシン”を使って湧泉を営気の手法で処理しました。(ハリは皮膚表面に当てるだけで全く刺しません)
後は補助的に頭や足にお灸。‥‥以上で初回の治療は終了です。
「いかがですか?」「ちょっと頭がすっきりした気がします。」
2日後に2回目の治療。「治療した夕方くらいまで良かったけど昨日は一日頭が熱かった」と施術前の質問に答えられました。
変化は4回目の来院時ありました。
「先生、この二日は全く熱さを感じませんでした。調子がいいです!」
5回目‥‥「この所全く熱さを感じません!孫が来ても最近は調子が悪いんで、遊んでやる気にもなれんかった。でも昨日は遊んでやりました!、この二日位は昼寝も出来て嫁もビックリしています。2年前からの耳鳴りも少し良くなってきました。睡眠導入剤を半分に減らしても良く眠れています!今度嫁も連れてきますんで診てやってください!」
おそらく‥‥ですが、西洋医学的にはこの患者さんは”男性更年期障害”といった診断がつくのではなかろうか?と思います。
薬等一切使わなくても人は元気になれる事がある!
患者さんと話していて鍼灸の素晴らしさを改めて感じました。